始業式講話

 夏休みに韓国に旅行に行きました。最終日の三日目に事件が起きました。ソウル駅のコインロッカーに荷物を預けようとしたら、オートロックで鍵がかかってしまったのです。このままでは開け方がわからず、日本に帰る飛行機に間に合わなくなります。
 あれこれ触ってみたのですが全く開きません。私は韓国語がわかりませんしハングルも読めません。困り果てていると、一人の若者が声をかけてくれました。片言の英語で事情を説明しました。近くに係の人がいなかったので、その男性は自分の携帯電話を使って、書いてあった緊急連絡先に電話をしてくれました。
 男性は電話でしばらくやり取りをしたあと、開ける方法の説明を受けたようで、「開錠のために3,000ウォン(日本円で300円くらい)必要だが持っていますか。」と私に尋ねました。たまたま細かいお金がなく、「今持っていない」と答えると、男性は「じゃあぼくが出しておく」と言って、自分のお金を機械の中に入れ、説明を受けたとおり暗証番号を押して無事荷物を取り出すことができました。私は何度もお礼を言いました。若者はノープロブレムと言って笑顔で去っていきました。
 日本に帰ってからそのことをいろいろ考えたのですが、とにかく韓国の人は親切だという印象が一番強く心に残ったということです。私の中では、今回の旅行で韓国の人々はみんな親切だと印象づけられているのです。
 サッカーワールドカップで、日本のサポーターが応援席をきれいにして帰る姿をマスコミが取り上げたことで、日本人はマナーが良い、とてもすばらしい民族だと世界中の人々に印象付けられました。一人の行動は全体を印象付けるのです。
 先日、ある高校の先生が校長室にごあいさつに来られました。その時に、「泉南中学校の生徒は良いですねえ。」とおっしゃってくださいました。正門からここまで来る間に大きな声で生徒があいさつをしてくれたそうです。誰かがあいさつをしてくれたことで、泉南中学校の生徒はみんなとても良い生徒だと印象づけられました。
 もちろん逆も言えるでしょう。今日は体操服で登校している人もたくさんいますが、SENNANと書かれた体操服を着て、帰り路に自転車で道幅いっぱいに広がっているのをドライバーが見たら、泉南中学校の生徒はみんな交通ルールを守らないというふうに思われるかもしれませんよね。
 一人の行動は全体を印象づける。一人ひとりの行動に責任を持って、二学期もがんばりましょう。これで私の話を終わります。